2017年5月15日月曜日

Day27

D27
9/3(木)
昨夜0:00
目が覚めて外へ出るとオーロラが見えた。
オーロラは青白く光り、みるみる形を変える。雲の流れが形を変えるのと似ている。小高い山の頂にはレーザー光線のように差し込んでいて、みどり色に見えた。とても美しい。
まさか見られるとは思わなかった。この日は本当にたまたま目が覚めて外になんとなく出てみたのだ。月も星も美しい。
一緒に起きたダンナは慌ててカメラを取り出すも間に合わず。この美しい光景は私たち二人だけの記憶に刷り込まれた。

5:00
目が覚める。今日も寒いので日が出るまでゆっくりと支度をする。
昨夜オーロラ見たよね。とお互いに夢ではなかったことをぼんやりと確認。



8:00
出発。昨夜ありつけなかったビールを目指すのだ!!
だが、勢い虚しくすぐにお腹がすいてしまい11:00に昼食。

二日前からよく顔を合わせるソロハイカーの「ゆっくりさん」を途中で抜かした。
彼は本当にゆっくり進み、ゆっくり休む。そして、ふだんから愛用しているだろう重たそうな水筒から何かをゆっくり飲む。
道中会う人は少ないので、勝手に親しみを持ち、勝手に彼のプライベートなどを想像してみる。これもロングハイキングの楽しみ方かもしれない。
「ゆっくりさん」に追いつかれないようにというプレッシャーが妙にわく。

昼食の最中、これから目指す小屋の方から一人の女性がトレッキングウオーキングをして通り過ぎて行った。昨日の記憶が蘇る。
昨日は小屋の方向から走ってくるトレラン姿の人とすれ違ったら小屋が閉まっていたのだ。まさか!!!
気もそぞろに昼食を終えて歩き出すと小屋が見えてきた。予定より早く12:30に到着。
悪い予感は当たり、小屋には誰もいない。。。
売店らしきところには「12:00まで16:00から」と書いてある。

小屋にたどり着いたものの・・・

16時まで待つのはつらいし、ビール云々よりもこれから先4日分の食料を手に入れられないことは命に関わる。どうしようかと考えていたら先ほどのトレッキングウオークの女性が帰ってきた。きっとこの小屋の人に違いない。急いで追いかけて「何か買いたいです」
と言うと、なんと女性はゲストだった。聞くと18時まで小屋番は戻らないそうだ。男性も出てきてどうしたのかと話す。「この先4日分の食料を買おうと思っていたんです。」と言うと「それは大変だ、私たちの持っているものをプレゼントする。」と2人分のパックフードを持ってきてくれた。受け取れないし、あと1日分はあるから次の小屋へ行くので大丈夫だというと「Why not?」「好意は受け取るべきだ」「日本でお返ししてくれればいい」と温和に言ってくださる。ありがたく頂戴することにした。
いただいたオレンジ色のフードパックは我々2人で1袋を食べるので、2人の2回分の食料が手に入ったことになる。本当にありがたい。
Mr&Mrsは明日ヘリコプターでストックホルムへ帰るからもう食料はいらないのだと言う。
帰国したらきちんとお礼が言いたいのでメールアドレスを聞き、一緒に写真を撮った。

優しいご夫婦

Mrはプロフェッサーで、何回か日本に行ったことがあるそうだ。大阪、京都、東京、さらに来年東京へ行くそうで、ぜひ再会したいものだ。
人が困っている時に惜しみなく自分のものを差し出すことができる。そういう人に自分もなろうと思う。

小屋を後に出発しようと振り返ると「ゆっくりさん」が歩いてきた。やばい!追いつかれる。というわけで先へ進む。

次の小屋までは19キロなので半分の9キロ地点まで歩くことにした。
途中でこれまた何回か抜きつ抜かれつしているアクトさんとも遭遇(ヒルバーグのアクトというテントなので)

アクトさんはいいところにテントを張る

歩きながら反省。小屋の時間を調べていなかったことは我々のミスだ。明日はお昼前には小屋について食料の調達をちゃんとしよう。
小屋にはSTF運営と、そうでないものの2種類ある。STF運営だと常に小屋番がいて食料も豊富だが、STFでないところは現地のサーミ人がやっている。彼らは現地人なので、自身の生活があり、決められた時間以外はいない。だけどサーミの魚や肉の燻製を手に入れることができる。しばらく肉や魚を食べていないので、手に入れたかったな、と思う。

パジェランタレーデンは1st、2ndステージの総括のようにバラエティに富んだ素晴らしいところだ。



旅の締めくくりを迎えるのにとても良い道。1日1日を大事に過ごそう。



後日談:
Mrはストックホルム大学の有名な教授でした!帰国後メールのやりとりを何度かしました。